FRB議長「これまでの政策、経済支える」 会見全文

FRB議長「これまでの政策、経済支える」 会見全文

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は30日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見した。発言の概要は以下の通り。
「今年で3回目となる利下げを決めた。米国経済を強く保ち、現在進行形のリスクに対して保険をかけるためにこの手段をとった。我々は政策調整によって経済を支える手段を提供しており、今後もし続けるだろう。我々は金融政策が適切に働いていると信じている。米国の景気拡大は11年目に入り、経済見通しも好ましい。経済全体は穏やかに成長している。健全な労働市場、賃金増、堅調な消費者態度に支えられ、家計支出は強いままだ。一方で、設備投資と輸出は弱い。製造業の生産は過去1年にわたって減少している。海外経済の減速と貿易政策が重くのしかかっている。先行きを見通せば、堅調な家計支出と(緩和的な)金融環境に支えられ、米経済は緩やかな成長を続けるだろう」
「労働市場は力強い。失業率は1年半にわたって約50年ぶりの低さを保っている。雇用の増加幅は今年に入って弱含んだものの、堅調な状態だ。労働参加率は上昇し、賃金は特に低賃金の労働で上がってきた。低中所得者層で仕事を得るのが難しかった人々も働く機会を得て、より良い生活を送っている。景気拡大がもたらす強い労働市場は、これらの人々を取り残さない」
「物価上昇率は過去12カ月超にわたり、2%の目標を下回ったままだ。8月にかけての個人消費支出(PCE)の物価上昇率は1.4%で、(変動の大きい食料とエネルギーを除いた)コア物価上昇率は1.8%だ。物価上昇圧力は依然として弱い。長期的な物価上昇期待も歴史的に低い水準だ。我々は、物価上昇率が2%目標を下回る状況が続くことで、長期的な期待上昇率も下がる好ましくない状況を警戒している。だが強い経済と金融政策を支えに、我々は物価上昇率は2%に上がると期待している」
「全体的に経済活動は持続的に拡大し、強い労働市場は続き、物価上昇の2%目標に近づくと考えている。かなり長い期間この見通しを持ち続けているが、見通しの実現に必要な政策金利に対する考え方は、ここ1年で劇的に変わった。世界経済の弱含みと貿易政策は現在進行形のリスクになっている。これらの要素と物価上昇の弱さにより、我々はこの1年、より低い政策金利が適切とみるようになった。7月と9月に政策金利をそれぞれ0.25%引き下げた。今日の利下げで、政策金利を1.5%~1.75%とする」
「今日までの政策調整は経済を大いに支えるだろう。金融政策は時間差で効くので、政策調整による全ての効果はゆっくりと雇用や物価上昇に現れるだろう。経済情勢が緩やかな経済成長という我々の見通しにほぼ沿うなら、いまの政策スタンスは適切である可能性が高い。我々は金融政策が、経済の緩やかな成長、強い労働市場、2%の物価上昇という目標を達成するために適切に働いていると信じている。我々は適切な政策金利を評価するに際し、今後も政策の効果と、経済見通しに影響する情勢を注視する。経済見通しの点検が必要な事象が起これば、我々は当然それに応じて対応する。政策はあらかじめ道筋を決めるものではない」
「9月中旬以降に短期金融市場の需給が逼迫したことを受け、FRBの準備預金の水準を9月初めと同程度かそれ以上の水準にすることが適切だとの考えに達した。そのため、少なくとも2020年6月まで短期国債を買っていくという方針を10月11日に公表した。この対応は金融政策を効果的に進めるための技術的な調整で、金融政策の姿勢の変更ではない。特に、短期国債の購入は金融危機後に採用した量的緩和と混同すべきではない。危機時には長期国債を買うことで長期金利に引き下げ圧力をかけ、金融環境を幅広く緩和させた。対照的に短期国債を買うことで準備預金を増やすことは、長期国債の需給や金融環境には直接影響を与えない」
――景気がどの程度悪化したら金融政策を変更するのか。今回利下げを決めた根拠は。
「個人消費は堅調で、失業率も低く、雇用の増加幅も望ましい水準で、賃金も上がっている。労働参加率も上昇し、消費者態度も改善している。ただ製造業における設備投資や輸出は低調なままだ。そのため金融政策をより緩和方向にした。景気の緩やかな拡大、強い労働市場、2%の物価上昇目標を前提に、状況に変化が生じればそれに応じて対応する。景気の動きが我々の見通しに沿う限り、現状の政策スタンスを保つ。新たな展開が起これば景気見通しの再点検をする」
「今回の利下げは正しい判断だと考えている。今回の会合でも前回と同様に異なる見解があったが、最終的に利下げという判断に対して強い支持があった。過去1年でとってきた行動は経済にとって適切で、経済成長を支えてきた」
――考慮しているリスクとは。
「世界経済の減速、貿易摩擦、物価上昇率の低下だ。中国との貿易協議で第1段階の合意が得られれば緊張が和らぎ、不確実性も減る。企業の景況感改善と活動拡大につながる。英国の欧州連合(EU)離脱は合意なき離脱の可能性が小さくなってきた。企業の設備投資の減速もリスクだが、失業率の上昇や個人消費の低迷にはつながらないとみている」
――米中貿易協議の行方に依存する金融政策に懸念はないのか。
「そのように金融政策を定義していない。(確率は低いが起きたら影響が大きい)『テールリスク』とみていた中国との貿易協議が、解決に一歩近づいたようだと述べたまでだ。金融政策に織り込んだわけではない。英国のEU離脱にしても、最終的な結果は依然として不透明だ。経済見通しに影響する事態となれば、状況に応じて行動する」
――現在の政策スタンスは緩和か中立か、どう分類しているのか。
「実質金利はおそらく0を少し下回っており、私の感覚では緩和的な政策だと思う。だが中立的な金利水準については様々な推定値があり、その推定値も長年下がっている。景気の下振れリスクが続く状況を考慮すれば、緩和的かつ適切なスタンスと言えるだろう」
――世界経済の不確実性が払拭されたら、再び利上げに動く可能性は。
「過去に利上げした理由は物価上昇の過熱が懸念されたからだ。しかし今はその危険がない。1~3月期も物価上昇率は鈍化した。4~6月期には回復したが、2%以下にとどまっている。我々が重視する期待物価上昇率も下がっており、2%目標の達成を考えると、現在、利上げは考えていない。この政策スタンスは適切だと思う」
「貿易摩擦の緊張が緩まれば、企業の景況感は改善し、企業活動も活発になるだろうが、すぐには変わらないだろう。利上げは物価の動向次第だ。利上げを検討するなら、物価上昇率は現在の水準をかなり上回る必要がある」
――期待物価上昇率の低迷は望ましくないとのことだが、これが続く場合の対応は。
「期待物価上昇率は我々の政策の枠組みにとって中心的な存在で、2%前後の目標を維持する必要がある。ただ、その枠組みを変える別の方策があるかどうかも検討している最中だ。まだ決めていないが、20年半ばには決めるだろう」
――米国でも物価上昇率の低下が続けば、慢性的に物価上昇が鈍く低金利が続く日本のようになっていくのか。
「日本や欧州の状況は注視しており、世界中に大きなデフレ圧力がかかっていると認識している。米国の物価上昇率は高水準にあるが、デフレ圧力から免れたとは考えていない。2%目標を達成できるよう強く働きかける。デフレの一途をたどる他国の経済圏をみると、物価上昇期待がいったん下がり始めると金利も低下し、期待の回復はとても難しくなる。今我々にできることは、物価上昇期待を保つために必要な措置を講じることだ」
――短期国債の購入を再開した。いつまで続くのか。(民間銀行がFRBに余裕資金として預ける)準備預金はまだ十分でないか。
「一時的なオペ(公開市場操作)は20年1月末まで、短期国債の購入は6月末まで続く見通しだ。準備預金の下限は1兆4500億ドル(約160兆円)かもう少し高い水準だ。我々は銀行に対し、適切な準備預金の下限を聞き取ってきた。余剰資金が十分にあった銀行の多くは、それをより高金利のレポ(国債などを担保にした翌日物の資金供給)市場に投資しなかった。問題は金融システムの安全性や健全性を損なわずに、どう流動性を改善するかだ」
――前回の利下げ時にあった「保険」の表現を外した理由は。
「あらゆる経済情報を考慮する。個人消費は国内総生産(GDP)などに見られるよう底堅い。製造業の投資や輸出は弱いが、経済全体は緩やかに成長している。新規の失業保険の申請数も低い。緩和的な金融政策の効果も表れている。耐久消費財の販売は堅調で、住宅市場も持ち直し成長に寄与し始めた。消費者態度指数も高水準だ」
――低金利の効果が消費者より企業に対しては表れにくいという懸念はあるか。
「金融政策は様々な経路で機能する。金利は企業の事業に影響する1つの要因ではあるが、主な原動力にはならない。製造業の活性化や設備投資、輸出を支えることが期待されるのは世界経済の回復と、米国外における金融緩和、財政政策だろう。貿易摩擦の解消も同様に貢献する」
――企業債務の拡大が金融の安定性にもたらす懸念は。
「(2008年の)金融危機以降、常に注意深くみているが、現状、不均衡は見られない。銀行やノンバンクなどの資金調達リスクも低い。資産価格にもバブルは見られず、家計の状態もおおむね良好だ。確かに企業債務は歴史的な高水準になっているが、注視して適切な措置を講じていく」
――米国内には地域差があり、貿易摩擦への反応も地域で異なる。地域差は政策判断にどう反映されているのか。
「金融政策が、『切れ味の悪い道具』であることは周知の事実だ。特定の地域で利下げし、別の地域で利上げすることはできない。我々はこの課題を十分認識している。最近の連邦議会への報告書では、雇用、成長、健康など様々な点において地方と都市部の格差を指摘した。格差は拡大している」
「我々は解決策を持たないが米経済にとって重要な問題で、連邦、州が取り組むべきだ。我々は雇用の最大化と物価の安定という任務を遂行し、金融の安定化や銀行規制を担う。米経済は、潜在成長力や労働参加率、収入・資産格差など長期的な課題を抱えている。これらは議会が対応する問題だ。米国の潜在成長率を高めるためには、適切な金融政策が必要だ。だが包括的な成長を支えるのは金融政策ではなく財政政策だ」

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