REIT 賃料上昇で短期では一段高も

REIT 賃料上昇で短期では一段高も

不動産投資信託(REIT)市場への資金流入が勢いを増している。REITの総合的な値動きを示す東証REIT指数は節目の2000を11年7カ月ぶりに突破した。ビルの賃料上昇ペースが高く、投資家や物色の裾野の広がりから短期的な上昇を見込む声があるが、膨らむ楽観論には危うさもはらむ。
12日の東証REIT指数は4日ぶりに反落し、2000を割り込んだが、ヘルスケア&メディカル投資法人やCREロジスティクスファンド投資法人などの小型銘柄は年初来高値を付けた。
その背景にいるのが地銀や保険会社などの国内金融機関だ。指数連動で銘柄の規模を問わず幅広く投資することが多く、小型銘柄にまで資金が流入している。東京証券取引所がまとめた6月の投資主体別売買動向では、上場投資信託(ETF)の資金動向を反映する証券会社自己売買部門(385億円)や投資信託(274億円)の買越額が上位だった。
6月に売り越した外国人投資家も「一時的な利益確定売りで、割安感が残る日本のREITへの関心は高い」(SMBC日興証券の鳥井裕史氏)。REIT特化型投信を通じた個人の資金も流入している。
足元の相場に対して「2006~07年前半に似てきている」(モルガン・スタンレーMUFG証券の竹村淳郎氏)との声が聞こえる。東証REIT指数は05年末から07年5月31日に最高値の2612.98を付けるまで、1年半で63%上昇した。
当時との類似点の一つが好調な不動産賃貸市場だ。オフィスビル仲介の三鬼商事(東京・中央)がまとめた東京都心5区のオフィスビルの空室率は6月時点で1.72%とほぼ満室だ。需給の引き締まりから月平均賃料は66カ月連続で上昇している。
SMBC日興証券の鳥井氏はオフィスビルの賃料改定の際に半数のテナントに対して7%の賃料増額が実現すると想定。REIT全体では既存物件での賃料引き上げだけで分配金が年約2%ずつ拡大するとみる。分配金が増えれば、利回りが上昇して上値余地が生まれる。
賃料の上昇ペースが上向いていることも当時と重なる。前年同月と比べた上昇率は18年後半から7~8%で推移する。06~07年は上昇率が次第に高まり、2ケタ台まで上昇した。さらに06年ごろに米国債5年物の利回りが2年物を下回ったのも足元と似ている。金利低下は、相対的に利回りが高いREITに資金が入る要因となる。
保有する不動産に比べ株価が割安な企業を買収しようとの動きも同じだ。07年には失敗に終わったがダヴィンチ・アドバイザーズがテーオーシーに敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けた。今年はスターアジア不動産投資法人やエイチ・アイ・エス(HIS)が合併提案や買収に動き、再編期待も相場を押し上げている。
短期的な上昇期待はあっても、実体を伴わずに相場が高騰する「バブル化」の懸念もはらむ。みずほ証券の大畠陽介氏は「低金利下でも利回りがとれるとして、よく理解しないままREITを買う動きも目立つ」と指摘する。
足元での上昇を支える賃貸市場についても「20年にオフィスビルの大量供給が予定され、ビルの貸し手の姿勢も慎重になりつつある」(CBREの大久保寛氏)。需給が緩めば、急ピッチの賃料上昇に歯止めがかかる可能性もある。
東証REIT指数は07年5月に最高値を付けた後、米国の信用度の低い個人向け融資(サブプライムローン)問題を契機に信用不安が発生。不動産価格も下落し、約1年半で最高値の半値まで下落した。
分配金の利回りの相対的な高さから買われているということは、金融環境の変化に振られやすいということも示す。「相場の上昇ペースが思いがけず速く、降りるタイミングを見極めるのが難しい」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹氏)との本音も漏れ、過度な楽観論には警戒感もでている。

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