躍動する「独立系」 顧客本位根付く契機に

躍動する「独立系」 顧客本位根付く契機に

6日の土曜日に楽天証券が開いた独立系金融アドバイザー(IFA)セミナー。インターネット上での参加を含め、独立を目指す金融機関の営業員など約60人が集まった。地方銀行勤務の30代女性は「会社の看板でどれだけ仕事ができるか分からない」と将来への不安から参加を決めた。
銀行や証券会社など、個人金融の伝統的な担い手が従来型の手法からの脱皮に苦しむなか、顧客に運用を助言して、委託契約した証券会社につなぐIFAの存在感は増している。金融機関に属さないため、ノルマなどに縛られることなく、長期目線で個人の資産形成を手助けしやすい。
フィナンシャルクリエイト(東京・板橋)の高塚大弘社長は、大学を卒業後、保険代理店に就職したが、奨励金を多く払った保険会社の商品を勧める販売姿勢に嫌気がさし退職。他業種での起業を経て「金融業界に一石を投じたい」と2011年に同社を立ち上げた。
政治問題化して正式に日の目を見なかった金融庁の「2000万円報告書」には「個人の資産形成には長期間のアドバイザーが必要だ」との記載があった。転勤や会社の営業戦略に左右される既存の金融機関ではなく、IFAの役割を重視する文言とみられる。
報告書で老後の資産形成への関心が高まった6月。IFA大手のガイア(東京・新宿)では「顧客からの相談件数は5月比で4割増えた」(中桐啓貴社長)。対面型の金融機関にはほとんど相談が来なかったのとは対照的だ。
ガイアは16年10月から助言した運用資産の残高に応じて報酬が決まるコースを事業の中心に据えた。売買仲介による手数料収入が減り、一時は赤字に陥った。それでも中桐社長は「残高ベースは顧客と事業者の目線が同じ方向を向く」との信念を貫き、同コースの残高が100億円を大きく超えた18年度にようやく黒字化した。
金融庁によると、IFAが多く含まれる金融商品取引法上の仲介業者は約900。預かり資産残高などのデータはないが、着実にその数を増やしているとみられる。
新たな担い手として存在感を増しているIFAだが、まだ玉石混交だ。「残高ベース」を導入しているのはガイアのほかは大手のファイナンシャルスタンダード(東京・千代田)などごく一部。多くは証券や保険会社をやめた「元営業員」で、収益を求めて手数料の高い商品を高頻度で売買しようとする業者も少なくないのが現状だ。
一方で既存の営業手法からの脱却を目指す大手金融機関も、顧客と長く付き合い信頼を深めて残高を増やす「急がば回れ」に真剣に向き合い始めている。
りそなホールディングス(HD)は7月中にも、IFA並みのコンサルティング能力を持つ社員の育成に向けた企業内大学を立ち上げる。さらに今年度からは、社員の業績評価について預かり資産残高など中長期の指標の配分を短期の指標と同水準まで引き上げた。
東和浩社長は「『悩みは何ですか』と聞かれて『これが悩み』と答える顧客は一人もいない。顧客の悩みを形にするようなコンサルは、商品ありきの発想では絶対にたどり着けない」と大きな方向転換を表現する。
米国では独立アドバイザーは資産の「かかりつけ医」のような存在で、対面の金融商品販売で全体の半分程度を占めるようになっている。くしくも「2000万円」報告書で将来への資産形成への関心は高まった。これを機会にノルマやモーレツといった仕組みを過去の遺物として、「顧客本位」に原点回帰できるか。すべての金融関係者が試されることになる。

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