新興企業の平均年収 全上場企業に迫る IT人材などで

新興企業の平均年収 全上場企業に迫る IT人材などで

新興上場企業で働く従業員の年収が上昇し、全上場企業の平均との差を縮めている。東証マザーズ市場に2018年度に新規株式公開(IPO)した企業の単純平均年収は579万円と17年度にIPOした企業と比べ約1割増え、上場企業平均に約40万円と迫った。デジタル人材の採用などでの厚遇が押し上げた。待遇面で新興企業の魅力が高まり人材が集まれば産業の転換を後押ししそうだ。
東証マザーズには、人工知能(AI)や自動運転関連など産業の構造変化を象徴する若い企業が多く上場する。マザーズに上場した時点で創業から10年未満の企業を対象に上場時の開示資料を基に算出し、年度ごとの傾向を調べた。
18年度に上場した該当する28社の平均は2年連続で上昇し、16年度比で26%増えた。業種はAIやソフトウエア開発などのIT(情報技術)やコンサルティング、投資会社が大半を占めた。
東京商工リサーチによると、18年3月期決算の全上場企業の平均年収は620万円(平均年齢約41歳)だった。18年度に上場した新興企業の平均年齢は約35歳で単純比較できないが、16年度以降は新興上場企業と全上場企業の差が縮んでいる。
経済産業省が17年度に実施したIT関連産業の給与水準の調査では、22~55歳の平均年収の標準が542万~543万円だった。新興企業はIT産業の平均を上回る。
18年度に上場した新興企業で上場企業の平均を上回ったのは7社あった。教育コンテンツを手がけるEduLab(エデュラボ、855万円)は、AIや財務などの専門性の高い人材を高給で採用している。最も高いのは保険業のSBIインシュアランスグループ(997万円)だった。
転職市場でも新興企業が存在感を増している。自動運転ソフト開発支援のエクスモーションは大手電機メーカーからエンジニアを中途採用している。年俸制を採用し、実力次第で1500万円程度まで昇給可能だ。上場前は3年で7人の採用だったが、直近7カ月で7人を確保した。18年7月のIPOで認知度が向上した成果が出ている。
電機大手から転職し4月に入社した37歳のエンジニアは「年収は前職より約2割増えそう。以前から関心のあった消費者に近い分野をやらせてもらっている」という。
家計簿アプリのマネーフォワードは、データ解析を本格化するため研究所を立ち上げ、NTTやヤフーに在籍していた北岸郁雄氏を所長に招いた。
新興企業では上場後に優秀な人材を集めて業績を拡大し、増益分を給与で還元する循環が生まれ上場後も平均年収が増えるケースが多い。15年度の新規上場企業(比較可能な21社が対象)の上場後2年間の年収の上昇率は年5.8%で、同期間の上場企業全体の伸び年0.8%を上回った。
一般的に新興企業は年齢を問わず現場の技術者らに多くの裁量を与え、意思決定も速い。仕事のやりがいを重視する若い層が集まる傾向が強かったが、年収面でも差が縮まれば大企業の人材も流入しやすくなる。
米国や中国など海外では実力主義が浸透し、大企業と新興企業を行き来する動きも活発だ。新たな企業が次々と成長する土壌になっている。
ただ、今後も上昇傾向が続くとは言い切れない。新興企業は上場した後に大企業や競合の新興企業にビジネスモデルを研究され、業績が思うように伸びなくなることもある。

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