対メキシコ関税 土壇場で回避 トランプ流が奏功

対メキシコ関税 土壇場で回避 トランプ流が奏功

トランプ米大統領は7日、メキシコからの全輸入品への関税発動を見送ると発表した。関税で脅すトランプ流「ディール」で譲歩を引き出し、自動車メーカーなどの供給網が寸断される事態は回避された。ただ米国への不法移民の流入が止まるかは不透明で、トランプ氏が再び関税を持ち出すリスクがある。産業育成など国家戦略に関わる中国との貿易戦争は激しく、世界経済の重荷は残ったままだ。
メキシコが移民の流れを食いとめる強硬な措置を取ることで合意した」。関税発動日の10日が目前に迫るなか、欧州歴訪から帰国したトランプ氏はツイッターで“勝利宣言”した。メキシコの提案を受け入れる代わりに関税発動を「無期限」で停止すると表明した。
両政府が合意した内容は(1)メキシコがグアテマラ国境付近に国家警備隊を配置し、メキシコ経由での不法入国を防ぐ(2)米国に不法入国して保護申請した移民をメキシコ側に戻して待機させる(3)中米諸国の経済成長を支援する――などだ。
米国のメキシコからの輸入総額は2018年が3465億ドル(約38兆円)で、中国に次ぐ2番目の輸入相手国だ。メキシコにとって米国は輸出の8割弱を占め、関税がかかれば景気後退に入るとの懸念が浮上していた。
トランプ氏が5月30日に関税発動を表明すると、メキシコ政府は外相ら閣僚がワシントン入りし、米政権や議会幹部に譲歩案を持ち込んだ。7日に関税回避が決まると、「忍耐強く交渉したことが結果に結びついた」(メキシコの有力経済団体)と安堵のムードに包まれた。
米国も中国のみならず、メキシコとも貿易戦争に突入すれば副作用は免れない。対メキシコ輸入の4割弱を占める自動車など産業界や議会は反対に回った。米国とメキシコにまたがる供給網が寸断されれば、業績悪化は避けられない。米産業界は関税回避を歓迎するとともに、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定の早期批准を促す構えだ。
日本の自動車大手幹部は「ほっとした」としつつも、「関税を巡る突発的な動きが今後もあると思うと頭が痛い」との本音をもらす。
トランプ氏は関税カードを切ることで、メキシコ政府から移民対策を巡る譲歩を引き出した。20年の米大統領選の再選に向け、自らの成果として有権者にアピールするのは確実だ。
ただメキシコの対策が効果を上げるかは読めない。国家警備隊は創設されたばかりで、すぐにグアテマラ国境付近に6千人規模の部隊が送れるわけではない。共同声明には、期待した効果が得られなかった場合は追加措置を検討すると明記した。移民対策の実効性が伴わないと判断すれば、「タリフマン(関税男)」を自称するトランプ氏が再び強硬手段に打って出るリスクも捨てきれない。

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