高まる米利下げ観測 米株と景気の支えに

高まる米利下げ観測 米株と景気の支えに

米利下げ観測の高まりが米株式相場を支えている。17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに反落したが、終値は2万5764ドルと直近安値の13日を439ドル上回った。米中対立への警戒は相変わらずだが、相場の底堅さが目立つ。緩和的な金融環境が続くとの思惑が一段の相場下落に歯止めをかけている。

■年内利下げの織り込み、7割強に上昇
米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げする可能性は7割強――。金利先物の動向からシカゴ・マーカンタイル取引所が算出する政策金利の先行きを示す「フェドウオッチ」では、年内1回以上の利下げの織り込み度合いは1カ月前の4割強から大幅に上昇した。物価停滞と米中の貿易摩擦がもたらす不透明感が利下げ観測を誘っている。

4月の消費者物価指数(CPI)や輸入物価指数など最近発表の物価指標は軒並み市場予想を下回っている。FRBのブレイナード理事は16日の講演で「インフレ率が目標の2%を下回っているという事実は労働市場の緩みや一時的なショックによるものではないかもしれない」と、構造的に物価が上がりにくくなっている可能性に言及した。

2019年中の政策金利の据え置きを予想するオックスフォード・エコノミクスも「最近の米中の貿易摩擦の激化と物価停滞で年内利下げの確率は高まってきた」と指摘する。トランプ米大統領は中国の金融市場への流動性供給に言及し「FRBが中国と同じ動きをすればゲームは終わる。我々が(貿易戦争に)勝つのだ!」とツイッターに投稿した。米中の交渉停滞がFRBへの利下げ要求につながるとの観測もくすぶる。

■米株のPER、高止まり続く
エバコアISIのデニス・デバッシャー氏は「力強い消費者の信頼感と緩和的な金融環境が米株式のPER(株価収益率)の高止まりを支えている」と指摘する。機関投資家の多くが運用指標に据えるS&P500種株価指数のPERは16倍台半ばと、最高値を付けた4月末の16.99倍に近い水準で推移している。

米ミシガン大学が17日発表した5月の消費者態度指数(速報値)は前月比5.3ポイント上昇の102.4と04年1月以来15年ぶりの高水準になり、市場予想も大幅に上回った。米中の対立が深まる直前の調査結果のため楽観は続かない可能性はあるが「制裁関税引き上げの影響は不透明だが、消費者心理は上向きだった」(JPモルガンのダニエル・シルバー氏)のは確かだ。

緩和的な金融環境と良好な消費者心理は米景気も下支えしそうだ。コンファレンス・ボードが17日発表した4月の景気先行指標総合指数は3カ月連続で上昇した。コンファレンス・ボードは「株価や金融環境、消費者の景況感が押し上げた」と指摘。「現在の景気拡大局面は7月に11年目に突入し、米国史上で最長の拡大になりそうだ」とみる。

17日は中国商務部の報道官が「米国は貿易を巡る論争を一方的にエスカレートさせている。交渉の深刻な後退につながるだろう」と批判したとの報道や、米中の交渉日程が「流動的」と伝わったのが相場の重荷だった。米中の対立と、緩和的な金融環境の下で底堅い米景気との綱引きは長期化する公算が大きい。米景気の先行きに強気な声はなお多いが、市場を取り巻く環境は盤石とは言い切れない。

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