米中冷戦 高まる市場氷結のリスク 世界にデフレの流れ弾

米中冷戦 高まる市場氷結のリスク 世界にデフレの流れ弾

貿易やハイテク覇権を巡る米国と中国の冷戦が激しさを増している。中国による報復的な対米制裁関税の引き上げに続き、米国は中国からの輸入品のうち、これまで対象外としてきた3250億ドルに最大25%の制裁関税を課すと13日に発表した。報復合戦は米中を中心に経済活動を急速に収縮させる。米中以外の国もデフレの流れ弾を浴び、グローバル金融市場は氷結しかねない。

「金利のあるものは、とにかく今のうちに買っておいてください」。ある銀行の機関投資家担当は最近、顧客の生命保険会社にこう話しているという。「利回り追求で為替ヘッジを付けずに米国債を買う(体力のある)投資家が増えている」(外国証券)との声も出ている。

13日の欧米市場では株式から債券への資金逃避が加速した。ダウ工業株30種平均は617ドル(2.4%)の急落。14日の東京株式市場では日経平均株価が2万1000円を割り込む公算が大きい。

一方、長期金利は軒並み急低下(債券価格は急騰)し、13日の10年物国債利回りはドイツがマイナス0.072%程度と0.027%、米国は2.40%と0.060%前週末比で低下した。特徴的なのは米国では期間の短い金利ほど低下幅が大きい点。景気後退と金融緩和の可能性を織り込む動きだ。

米国の新たな対中制裁関税はスマートフォン(スマホ)や衣類など身近な消費財が多い。この関税が米国内の流通価格に転嫁されれば、約810億ドルの値上げとなる。米国の名目国内総生産(GDP)の約0.4%相当だ。市場参加者がインフレを連想するのなら、米国の金利は跳ね上がっても不思議はない。

ところが投資家の反応は逆だった。景気悪化とデフレへの警戒が先立つためだ。

米連邦準備理事会(FRB)が重視する物価指標の上昇率は、すでに目標とする2%を大きく下回っている。三菱UFJ銀行の鈴木敏之氏は「低インフレは一時的とは言い切れず、利下げを織り込み、米長期金利は2%程度まで下がる可能性がある」とみる。

外国為替市場では人民元の対米ドル相場が下落。1ドル=6.8元台後半と約4カ月ぶりの安値圏に沈んでいる。

「中国では最近、民間企業に対する共産党の介入が露骨になっている」(日本総研の関辰一氏)という。過剰債務企業を党の管理下に置き、国民に動揺を広げないのが狙いだろう。国家資本主義はいよいよ市場と距離を置き始めた。

人民元安の悪影響は中国からの資本流出懸念だけにとどまらない。対中依存度の高いインドやインドネシアといった経常赤字国の輸出採算が悪化し、ドミノ倒しのように新興国からのマネー流出の連鎖を呼びかねない。

経済協力開発機構(OECD)によれば、今回の米国による制裁関税で世界の貿易量は最大で2パーセント近く押し下げられる。オランダ経済政策分析局(CPB)の世界貿易モニターによると世界の貿易数量指数は、すでに08年9月のリーマン・ショック以来の落ち込みを示している。

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