三井住友銀 個人営業で「行員ノルマ」廃止

三井住友銀 個人営業で「行員ノルマ」廃止

三井住友銀行が個人向け金融商品の販売で、行員に課す「ノルマ」を廃止したことが分かった。これまでは投資信託や保険の販売額などで支店の評価を決めてきた。4月からは評価基準を見直し、顧客の運用残高をどれだけ増やしたかを重視することにした。脱ノルマ営業に向けた取り組みは注目を集めそうだ。
個人向け営業で行員のノルマを廃止した。法人向けは対象としない。
銀行では本部が支店の販売目標を決めるのが一般的だ。数字を与えられた支店長は自らの判断で行員に商品ごとの販売目標を割り振るやり方が定着している。行員は販売目標を達成しなければいけないノルマと受け止めてきた。
目標を上回ると「優良支店」として評価され、個人の報酬に反映されやすい。行員は目標額に届きそうになければ、無理をしてでも達成しようとする傾向があった。顧客の意向に沿って金融商品を販売しているとは言いづらかった。ノルマを達成しないと、昇進や昇給に響くこともあり、ノルマを重圧に感じる行員も目立ってきた。銀行は伝統的な戦略の見直しを迫られていた。
三井住友銀は支店の評価基準を見直し、投信、保険、外貨預金といった運用商品の販売額などを評価する項目を廃止した。住宅ローンは対象外とする。
例えば、顧客と信頼関係をつくり、投信の運用残高がどれだけ増えたかを重視する。投信は保有期間が長いほど成績がよい傾向がある。これまでは期中に投信をいくら売ったかを評価基準に盛り込んでいた。異なる投信を次々に売買する回転売買につながりやすかった。
4月から、支店長が行員に販売目標を割り振る行為を明確に禁止した。違反があると支店長の評価は下がる。新たな評価は顧客に分かりやすい説明や事後的なフォローの頻度を色濃く反映するようにした。低評価の支店は支店長と行員の評価が下がりやすくなる。
他行では三菱UFJ銀行が投資信託など新規の販売額を行員の人事評価から外している。三井住友銀は保険や外貨預金など幅広い運用商品を対象とした。
銀行は主要商品ごとに厳しい販売目標を支店に課して収益を上げてきた。ノルマを課さない範囲を広げたことで、三井住友銀幹部は収益が一時的に落ち込む「副作用もあるだろう」としている。
三井住友銀はノルマに代わる新たな人事評価の物差しを検討する。試験的に「ネット・プロモーター・スコア」(NPS)と呼ばれる消費者調査を導入した。金融商品の購入客を対象に、家族や友人から相談を受けたら同じ担当者を薦めるかを10段階で尋ねる。関係者は「現場の納得感を高める制度を作るには課題もある」としている。
大きく戦略を転換する背景には、顧客重視のビジネスを求める金融庁の意向もある。金融庁は手数料の高い投信を頻繁に買い替えさせる営業手法を改めるように金融機関に要請してきた。特に知識が乏しい高齢者に対し、複雑な金融商品を勧める金融機関の姿勢を問題視してきた。
銀行が投信や保険の販売に力を入れるのは、超低金利で貸し出し利ざやが減っているという事情がある。例えば、外貨建て保険は銀行の窓口で販売を伸ばしている商品の一つだ。販売を優先するあまり、為替変動リスクをきちんと説明せずに勧めているとの指摘は根強く、顧客からの苦情が増えている。

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