生保の過剰な「節税」商品販売

生保の過剰な「節税」商品販売

節税効果を強調した中小企業向け生命保険の商品開発と販売競争が過熱し、国税庁が税務上の扱いを見直す。生命保険会社の営業の基本姿勢が問われかねない。
問題となっているのは「経営者保険」という保障型の商品だ。中小企業の経営者が死亡した場合などに保険金が支払われる。保険料の全額を損金算入できる商品があるのが特徴だ。
中小・零細企業が経営者を欠くことの打撃は、信用力や資金調達などの面で大企業より大きかろう。税制面で経営者保険の加入を後押しする社会的意義はある。
だが、最近は加入目的が万が一への備えというよりも、節税狙いに傾斜しすぎだ。それを助長しているのが、中途解約に伴う返戻金を高額に設定した新商品だ。
企業は保険料を支払って納税額を抑えたうえで、のちに解約すれば保険料の大部分を回収することも可能になる。
こうした仕組みを問題視した国税庁が損金扱いの基準の厳格化に乗り出したのは当然だ。生保は相次ぎ販売中断に追い込まれた。
金融庁は、顧客の立場に寄り添った業務運営の徹底を金融機関に求めてきた。それへの回答が「顧客本位」の過度な節税指南だとしたら、本末転倒である。最初から中途解約を前提とした保険の商品設計も問題をはらむ。
外貨建ての投資型商品をめぐる生保の販売攻勢にも、厳しい視線が向けられている。
米ドルや豪ドルで運用する外貨保険は円建てに比べて相対的に利回りが高い。運用先に悩む契約者には魅力的に映り、販売が急増している。その半面、為替差損が生じるおそれがある、などのリスク説明がおろそかになり、苦情が増えている。
経営者保険も外貨保険も、本来の目的に沿ったニーズがあり、頭から否定する商品ではない。
反省すべきは業界の行きすぎた販売競争だ。「今の生保経営は美しくない」(金融庁)といった汚名を返上する取り組みが急務だ。

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