レオパレス 株価反発も 「逆ざや」リスク

レオパレス 株価反発も 「逆ざや」リスク

レオパレス21で新たな施工不良が発覚して3週間がたった。7000人超が転居を迫られる異例の事態となり、企業の社宅解約など事業全体に影響が出始めた。最初の問題が発覚した2018年春から業績は徐々に悪化しており、10~12月期連結決算は営業赤字に転落した。レオパレス内部では財務の悪化を食い止めるため、保有資産の売却案も浮上している。
レオパレスの経営は大丈夫なのか」。同社がここ3週間、各地で開いたアパートオーナー向け説明会では、ほぼ毎回怒号が飛び交う。もともとは会社側とオーナーとの関係維持のため、決算発表後などに定期開催してきた。普段は平穏な会合だが、今回は問題発覚直後だけあって雰囲気が異なる。
資金繰りについて、会社側は「当面は問題ない」との姿勢を崩さない。18年12月末時点の現預金は892億円で、現金化しやすい売掛金などを含めると972億円にのぼる。一方、1年以内に支払期限を迎える流動負債は1250億円だが、この中には入居者から預かった翌月分の家賃を中心とする前受け金が含まれるため、差し引いた908億円が実質的な流動負債といえる。当座資産で流動負債をどれだけまかなえるかを示す当座比率は100%を超えており、向こう1年間の資金は確保できている、との立場だ。
施工不良の発覚でレオパレス株は2月18日に199円と昨年5月に付けた昨年来高値から8割下げた。ここ最近は「売られすぎ」(アジア系運用会社)との認識が海外勢を中心に広がり、株価は戻り基調にある。3月1日の終値は前日比7%高の259円まで回復した。同日に英運用会社オデイ・アセット・マネジメントが関東財務局に提出した変更報告書で、レオパレス株の保有比率を11.04%から12.41%に引き上げたことがわかった。
市場での懸念はやや薄らぎつつあるようにも見えるが、業績面での不安材料はまだ解消されていない。アパートの調査はまだ終わっておらず、現時点で420億円と見積もる施工不良問題の関連費用は今後も膨らむ可能性がある。さらに本業の一段の業績悪化が財務を圧迫するリスクも残る。
18年10~12月期の営業損益は6億9000万円の赤字(前年同期は47億円の黒字)に転落した。アパートの建築部門は受注が低迷し、部門別損益が13億円の赤字だった。主力の賃貸部門も施工不良調査に伴う入居率悪化が響き、部門別利益が68%減った。
レオパレスはオーナーからアパートを一括で借り上げ、入居者に転貸する「サブリース」の形式をとる。入居率が下がれば、家賃収入がオーナーに保証している賃料を下回る「逆ざや」になるリスクがある。
前期のレオパレス単体の賃貸部門の売上原価は3563億円。1戸単位に換算すると月5万2000円程度だった。一方、同部門の売上高と入居戸数から、家賃や共益費など1戸あたりの収入は月6万9000円程度とわかる。この場合、入居率が75%未満になると、粗利益ベースで費用が家賃収入を上回る「逆ざや」に陥る。もっとも、イメージ悪化などから従来の家賃を維持できるかわからない。仮に収入が平均6万5000円に下がると、逆ざやのハードルは80%に上昇する。19年1月時点の入居率は85%だ。
業績の悪化が続けば、レオパレスは一段の財務の改善策に踏み込む公算が大きい。その軸となりそうなのが、自ら保有する不動産の売却だ。
レオパレスは18年12月末時点でアパート約50棟のほか、賃貸マンション13棟、国内ホテル4カ所を持つ。簿価で約300億円にのぼる。さらに米領グアムで1993年に開業した大型リゾート施設「レオパレス・リゾート・マネンガンヒルズ・グアム」を所有・運営している。こちらは簿価は264億円だ。
レオパレスは施工不良の発覚前から、資本効率改善のため資産の圧縮を進めてきた。16年にはグアムのもう1カ所のリゾート施設を韓国系投資ファンドに売却し、17~18年にはアパートを累計約530棟売っている。残るアパートやホテルも「売ってはいけないものという認識はない」という。資金繰りの悪化に備えた施策を打っている間に、業績の落ち込みを食い止めることはできるのか。レオパレスには目先の株価反発に安堵できない厳しい現実が控える。

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