ソフトバンクが上場(19日) 高配当魅力 反面成長力が課題

ソフトバンクが上場(19日) 高配当魅力 反面成長力が課題

ソフトバンク(SB)が19日に東京証券取引所第1部に上場する。新規株式公開(IPO)に伴い売り出される株式の金額は最大で約2兆6460億円と、1980年代後半のNTTを上回り日本で最大規模になる。株式の9割は国内で売り出され、多くを個人投資家が購入する。安定した通信料収入と高水準の配当が魅力だが成長性への見方は分かれており、上場後の株価に注目が集まっている。
上場するSBは東証1部に上場しているソフトバンクグループ(SBG)の連結子会社だ。ソフトバンクといえば孫正義会長兼社長が主導し世界の有望企業に資金を投じる「10兆円ファンド」が連想されるが、それはSBGの事業になる。SBは国内の中核事業会社で携帯電話サービス「ソフトバンク」を運営する「地味ながら安定して現金を稼ぐ企業」(外資証券)だ。
2019年3月期の連結業績は売上高が前期比3%増の3兆7000億円、純利益は5%増の4200億円を見込む。業績のリスクは通信料の値下げ圧力や楽天の新規参入による競争激化などになる。
上場に伴いSBGは最大約17億6400万株(発行済み株式の約37%)を売り出す。新株発行による公募増資はしない。1株あたりの売り出し価格は1500円になった。売買単位は100株で、売り出しに応じた投資家は15万円から購入できる。上場幹事を務める証券会社によると販売株数を上回る需要があった。ただ、6日に起きた大規模な通信障害や、中国の華為技術(ファーウェイ)との取引への懸念から購入のキャンセルもあったようだ。
上場日に最初に付く取引価格は初値と呼ばれる。知名度の高い銘柄は初値が公開価格(売り出し価格)を上回るケースが多い。6月に上場したフリーマーケットアプリのメルカリは、公開価格3000円に対して5000円の初値が付いた。SBは1500円を上回るかが注目されるが、人気が過熱し初値があまりに高くなると、その後に値が崩れる場合がある。
売り出し価格で試算した株価指標で見るとSB株は「それほど割安感はない」(国内運用会社)。予想1株利益に対する株価水準を示すPER(株価収益率)は約17倍だ。ドコモは14倍、KDDIは10倍でライバルよりも割高だ。株価を純資産と比較するPBR(株価純資産倍率)を前期実績で試算すると9・6倍になる。ドコモとKDDIは1・5倍程度で、こちらの指標でも割高な水準になる。
株価の支えは配当になりそうだ。純利益の85%をメドに株主に配当を払う方針で、SB株の販売を担う証券各社も「配当利回りの高さ」を打ち出している。売り出し価格で計算したSB株の配当利回りは5%と、同業のNTTドコモ(4・3%)やKDDI(3・8%)を上回る。
上場後の値動きは個人投資家の動向次第になる。SB株の購入を申し込んだ都内の50歳代の男性は「安定配当株として長期に保有したい」と話すが、早めの利益確定を狙う短期志向の投資家も多い。国内の携帯電話市場は飽和しており、通信事業だけでは高い成長シナリオは描きにくい。
SBは配当利回りだけでない魅力を訴えようと非通信事業の育成を急いでいる。通信事業に関わる社員の4割を人工知能(AI)など新規事業に振り向ける方針だ。SBGのファンドが投資する企業との事業連携も加速する。SBの宮内謙社長は「成長戦略と株主還元を両立していく」と強調する。通信以外の事業の育成が中期的な株価を左右しそうだ。

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