安全通貨 選別進む 欧州懸念でスイスフラン下落

安全通貨 選別進む 欧州懸念でスイスフラン下落

市場の警戒感が強まると買われやすいとされる「安全通貨」の選別が進んでいる。ドルと円はほかの通貨に対して上昇する半面、スイスフランはユーロの急落によって対ドルで下落した。スイスは欧州懸念に伴うユーロ安にあわせて、フラン売り・ドル買いの為替介入をしているとの見方があり、ドルと円の上昇を招いている面もある。
市場で「安全通貨」の代表格とされるのが円とドル、フランの3通貨だ。通常、株価が世界的に下落するような局面では上昇しやすい。ところが、フランは11月中旬に2017年3月以来、約1年8カ月ぶりの安値を付けており、足元では1ドル=0.99フラン近辺で推移している。
一方、ドルと円は欧州懸念を背景にユーロやポンドが値を下げるのに対して、逆に買いが入っている。円の対ドル相場は10月30日以来、1ドル=112~114円台の小さな値幅で推移している。
底流にはユーロ安がある。ユーロは欧州圏の成長率鈍化やイタリアの財政問題によって、対ドルで年初から5%ほど下落している。UBSウェルス・マネジメントの青木大樹氏は「スイス国立銀行(中央銀行)がユーロ安にあわせて為替介入をしているため、フラン安が進んでいる」との見方を示す。
スイスのEU(欧州連合)圏への輸出依存度は45%と高く、経済規模が小さいことから為替介入することでフランを切り下げることがある。
直近のスイスの外貨準備額は過去最大の7000億フランまで膨らみ、10年間で15倍に拡大した。第一生命経済研究所の田中理氏は「欧州経済への懸念や米国の株安が続くと、スイス中銀による為替介入がこれからも続く可能性が高い」と話す。
「安全資産」としてフランや円に関心が集まったのは08年のリーマン・ショック後だ。フランと円は流動性や海外純資産の多さから資金が入り、通貨高が進んだ。特にフランは欧州で債務問題が起きた直後の11年、域内の待機資金がスイスに集中。フラン高騰を受け、スイス中銀は11年、無制限の介入で一定の水準に保つ実質的な為替ペッグ制を導入した。
だが、その後の欧州中央銀行(ECB)の金融緩和拡大によりユーロ安圧力が一段と強まった。15年1月にスイス中銀はペッグ制を放棄せざるを得なくなり、今は為替変動を和らげるために介入を再び続けている。
市場では年末にかけてイタリア財政や英国のEU離脱問題を巡り、ユーロに引き続き下落圧力がかかるとの見方が増えている。みずほ証券の鈴木健吾氏は「年末にユーロは1ユーロ=1.1ドルまで下落する可能性がある」と指摘する。
スイスがフランの通貨高圧力を為替介入により緩和し続けると、行き場を失った欧州の待機資金が向かうのはドルや円だろう。こうした動きもドルや円の同時高を進ませる要因になりそうだ。

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