火災保険料 来秋引き上げ 損保3社 風水害増加で 今年度 保険金1兆円 2018/11/15 2020/9/5 information 火災保険料 来秋引き上げ 損保3社 風水害増加で 今年度 保険金1兆円 大手損害保険3グループは2019年秋に火災保険料を引き上げる方針だ。国内で自然災害による保険金支払いが増えて収支が悪化しているためで、引き上げは4年ぶり。西日本豪雨や大型台風など風水害が相次いだ18年度の保険金支払額は大手3社で計1兆円規模に膨らむ見通しだ。今年のような風水害が今後も続けば、家計や企業の保険料負担が増える基調が続く可能性がある。 大手3社の支払額は10月末時点の推計で計1兆円を超える公算が大きい。MS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)が4000億円超、東京海上HDとSOMPOHDがいずれも3000億円台半ば程度となりそうだ。 日本損害保険協会によると、台風や豪雨など風水害に伴う損保業界の保険金支払額は、3つの大型台風に見舞われた04年度が7449億円でこれまで過去最大だった。18年度は大手3社でこの規模を上回る見込み。 18年度は7月の西日本豪雨以降、台風21号、24号と大型台風が相次ぎ日本に上陸した。特に9月の台風21号は関西国際空港が一時閉鎖に追い込まれるなど、関西を中心に大きな被害をもたらした。 保険金は火災保険や自動車保険による支払いが中心となる。家屋や工場の浸水、建物の損壊、自動車の修理費などだ。「家財や工場の機械類が水に漬かったケースでも被害が膨らんでいる」(損保大手)という。 台風21号は保険金支払額が全体の約半分を占めるとの見方もあり、単独の風水害としても過去最大級の支払いになりそうだ。冬には大雪による災害も予想されるので、18年度の最終的な支払額は1兆円から一段と膨らむ恐れもある。 台風被害などを補償する火災保険は近年の災害多発によって収支が悪化しており、損保大手は19年秋にも4年ぶりの値上げに踏み切る方針だ。 損保各社でつくる損害保険料率算出機構は6月に、各社が保険料をはじく基となる料率を平均5・5%引き上げた。実際の来秋の上げ幅は今年夏以降の風水害の被害状況やコスト削減努力なども踏まえ各社がそれぞれ判断するが、5%前後が一つの目安になりそうだ。 東日本大震災などを受けて19年1月には地震保険料も全国平均で3・8%上がる予定だ。消費者や企業は災害に備える保険料の負担が重くなる。今年のように台風や豪雨などの災害が今後も相次ぐようなら、火災保険は再び収支が悪化し、20年以降も値上げ基調が続く可能性がある。 大手3社は国内の大規模災害に備えた異常危険準備金という積立金を取り崩して支払い増に対応する。さらに再保険によって保険金の一部は回収できるため、18年度の決算上の支出は実際の被災者への補償額と比べれば少なくなる見込み。このため業績への影響は限定的だ。各社は19日に18年4~9月期決算を発表するが、19年3月期の連結純利益の予想は、東京海上とMS&ADが据え置くとみられる。SOMPOはやや下振れする公算が大きい。 共有:クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)いいね:いいね 読み込み中… 関連