新型コロナショック対策 市場への「答え」 トランプ大統領が発見
13日のダウ工業株30種平均は前日比1985ドル高となり、過去最大の上昇幅を記録した。新型コロナウイルス封じ込めへの具体策を明らかにしたトランプ大統領の演説を好感し、演説の途中から上げ幅を1000ドル以上広げた。
「市場が求めていたのはこうした医療的な解決策だった。マネーじゃないんだよ」。米運用会社はトランプ演説を手放しで評価した。始まったのは午後3時半過ぎ。株式市場の取引終了まで30分を切っていたが、政策の内容が伝わるとみるみる水準を切り上げた。
トランプ氏はウイルスと戦うため「連邦政府はすべての機関や手段、資源を活用する」と力説した。1週間以内に140万個、1カ月以内に500万個の検査キットを用意し、ドライブスルー方式で簡便にウイルス検査が受けられるようにする。小売り大手ウォルマートが駐車場を検査場所に提供。グーグルは検査の受け方などを説明した専用サイトを立ち上げた。
米政府は一連の対策予算として500億ドル(5兆3000億円)を用意した。検査対象を広げれば短期的には感染者数が急増する可能性がある。だが、トランプ氏は「短期的な犠牲は長期的な利益につながる」と理解を求めた。
新型コロナによる景気下振れを警戒し、世界の株式相場は底の見えない下落が続いていた。米証券ジェフリーズによると12日までの1週間に、世界のMMF(マネー・マーケット・ファンド)に過去最大の1360億ドルが流入した。MMFは機関投資家などが現金の置き場として活用するファンド。リスクにおののく投資家が運用資産の現金化を急いだことがわかる。
その結果として、株式や債券市場では流動性が枯渇し、変動率が大きくなった。JPモルガン・チェースは、世界の金融市場で「VARショックが発生した」と指摘する。VARとは「バリュー・アット・リスク」の略。運用対象のリスクの大きさに応じて資産規模を調整する手法だ。
同氏は「世界の中央銀行の金融緩和の長期化で相場の変動率が抑えられ、投資家はリスクを過小に見積もっていた」と分析する。新型コロナ懸念で相場がいったん急落すると、VARに基づく投資家はリスク削減のために資産を売却し、マーケットメーカーは買値の売値の幅を広げて損失を抑えようとする。それがさらに相場の変動率を高める悪循環が起きた。
投資家は資産価値が短期間で失われる恐怖に支配され、米連邦準備理事会(FRB)が緊急利下げしても恐怖は癒やされなかった。市場はトランプ氏が打ち出した給与減税にも冷淡だった。移動が制限され、自粛ムードが強まる中で現金をばらまいても使い道は限られるからだ。
米調査会社ムーディーズ・アナリティックスは「新型コロナが広がっているさなかに企業収益の底を探るのは愚かなゲームだ。ウイルスを止めるしかない」と話す。トランプ政権は市場のそうした期待をくみ取ったのかもしれない。封じ込めに成功するのか、これからが本当の戦いとなる。
ランキングに参加しています。
週末は家に引きこもる!と言う方はこちらのバナーをクリック!
週末は出かけるぞ!と言う方はこちらのバナーをクリック!