新型コロナショック 相次ぐ急落 個人に深手 「逆張り」役の余力乏しく
個人投資家の苦境が深まっている。9日の日経平均株価は再び急落し、この2週間の下落幅は3500円を超えた。この間、買い下がってきた個人は、想定を超える株安で深手を負っている。市場では「セリングクライマックス(売りの最終局面)は近い」との見方もある。だが、過去、逆張りで相場の底を支えた個人の買い余力は、日に日に細りつつある。
9日は日経平均が1050円安と2年1カ月ぶりの下げ幅を記録し、東証マザーズ指数も節目の700を割っておよそ5年10カ月ぶりの低水準をつけた。午前には大阪取引所が東証マザーズ指数先物の全限月の売買を一時中断する措置(サーキットブレーカー)を発動。日経ジャスダック平均株価も1年2カ月ぶりの安値を付けた。
「信用取引の追い証(追加担保の差し入れ義務)の発生件数がかなり増えている。度重なる暴落で売りが売りを呼ぶ展開になった」。マネックス証券担当者はこう振り返る。
個人はもともと、株安時に買い向かう逆張り志向が強い。反発らしい反発がない今のような相場では、追い証が発生した投資家は損失覚悟で売りを迫られる。松井証券の店内では、信用取引の買方の含み損益を示す信用評価損益率が9日時点でマイナス25%強と2018年末以来の低水準となった。
個人は上場投資信託(ETF)でも痛手を被っている。
日経平均の約2倍の値動きとなる仕組みのレバレッジ型ETF「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(日経レバ)」の投資口価格は9日、一時前週末比12%下げた。2月中旬からの世界株安で海外勢が日経レバの投げ売りに動くなか、買い向かったのが個人だった。9日の下げは大きな打撃になった可能性が高い。
外為証拠金(FX)取引でも、個人は円高の進行に逆張りで臨んできた。9日の円急騰で強制的なロスカット(損失確定の売り)を迫られた向きは多いだろう。
全体でみればダメージの大きい個人投資家だが、余力を残す一部はなお「逆張り」を続けている。松井証券のアナリストは「個人は9日もかなり積極的に買い向かっており、現物株も日経レバも買い越しとなった」と明かす。
中長期志向の投資家にとっては、株価に割安感が出てきた銘柄が多いのも事実だ。三菱UFJ国際投信のファンドマネジャーは「値幅調整は十分。新型コロナウイルスが業績に与える影響に比べて、株価はオーバーシュート(行き過ぎ)している」と話す。
東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は50%台まで低下している。08年のリーマン・ショック時でも、50%台は振り返れば「買い場」だった。
総悲観のなかで吐き出される大量の売りが吸収されて相場の底を作るのが、セリングクライマックスのメカニズムだ。その「頂点」を形成するには、売りを引き受ける買い手の存在が欠かせない。9日の東証1部の売買代金は3兆4600億円ほどにとどまった。逆張りの主役・個人の余力がこれ以上細れば、株式相場の自律反発の道は一段と遠のきかねない。
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