新型コロナ NYダウ 一時1000ドル安 2万5000ドル割れ
28日の米株式相場でダウ工業株30種平均は7日続落して始まった。午前9時40分現在、前日比481ドル79セント安の2万5284ドル85セントで推移している。下げ幅は一時800ドルを超え、心理的節目の2万5000ドルを下回った。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、ヒトやモノの移動の制限の長期化が世界経済の下押し圧力になるとの見方が一段と強まっている。
ニュージーランド政府は28日、同国内で初めて新型コロナの感染者を確認したと発表した。アフリカ大陸のナイジェリアでも初の感染者が確認されたと報じられた。感染は世界50カ国・地域以上に広がっており、景気懸念の高まりに伴いリスク資産である株式を売る動きが強まっている。
ダウ平均の下落率は前日に12日に付けた過去最高値から「調整局面」入りとされる10%を超えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も最高値からの下落率は10%超となり、「過去最短での調整局面入り」(米調査会社ビスポーク・インベストメント・グループ)。短期間で急激な下落に見舞われたため、個人投資家などの損失覚悟の売りが膨らんでいる。
米債券市場では安全資産とされる米国債買いが進み、長期金利の指標となる10年物国債利回りは1.2%を下回り、過去最低水準で推移している。一方、投資家心理を測る指標の変動性指数(VIX)は一時、前日比で2割高い47近辺まで上昇した。不安心理が高まった状態とされる20を上回る水準で一段と上げている。
スマートフォンのアップルとソフトウエアのマイクロソフトが下落した。建機のキャタピラーや化学のダウも安い。金利低下による利ざや縮小への懸念からJPモルガン・チェースなど金融株が売られた。一方、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)は上昇している。