NY株ハイライト ダウ2年ぶりの下落率 「利下げ催促相場」に突入も
新型肺炎への警戒感の急速な高まりが堅調だった米株式相場にも波及した。24日のダウ工業株30種平均は前週末比1031ドル安の2万7960ドルと3日続落し、年初来で下げに転じた。下落率は2018年2月上旬以来、ほぼ2年ぶりの大きさだった。新型肺炎の感染者や死者数が急速に増え、リスク回避の売りが膨らんだ。米株式市場は相場の下支え役として米連邦準備理事会(FRB)に予防的利下げの再開を求める「催促相場」の様相を強めそうだ。
イタリアや韓国など中国以外で新型肺炎の感染者数が急増しており、感染拡大による供給網(サプライチェーン)への悪影響などが世界経済の下押し圧力になるとの懸念が強まった。相場のけん引役だったマイクロソフトやアップルなど主力ハイテク株が軒並み売られた。1月下旬以降、新型肺炎の感染が拡大するなかでも成長期待の高い銘柄への買いは途絶えなかったが、リスク資産をまとめて手放す動きが広がった。
供給網が混乱するとの懸念で売りが膨らんだのは半導体株だ。主な半導体株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は一時、前週末比5.4%安の1788台まで下げた。米半導体各社にとっても中国は最大の市場であり、供給網の混乱が長引けば20年の市況回復シナリオが崩れかねないとの懸念が高まった。19日に付けた最高値を9%下回り、「調整局面」入りとされる10%安が目前に迫る。
高値警戒感が強まるなかで、新型肺炎の感染拡大が売りの引き金を引いた。「株高が最終局面であることを示すシグナルが出ている」と指摘。景気変動の影響を受けにくいとされるディフェンシブの大型株が中小型株を上回る上昇をみせるなど、歴史的に株高が最終段階にあることを示す5つのシグナルが点灯しているとする。
投資家が最後のよりどころにするのはFRBだ。19年に実施した3度にわたる予防的利下げが米経済を浮揚させたとの見方から、FRBのクラリダ副議長などは金融市場が織り込む年内の利下げに懐疑的な見方を示す。ただ、21日に発表された2月の米総合購買担当者景気指数(PMI)の生産指数は6年4カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。米経済も新型肺炎の影響から逃れられないとして、「FRBは一段の予防的政策を取るべきだ」との声が増えている。
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米金利先物の市場動向から金融政策を予想する「フェドウオッチ」によると、市場が見込む年前半の利下げ確率は24日に7割超と1カ月前の3割弱から大幅に高まった。さらに、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率も2割を超え、市場は「利下げ催促相場」の様相を呈しつつある。強まる圧力にFRBがどう応じるか、株式市場との神経戦はしばらく続きそうだ。
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