トルコリラに下落圧力 新型肺炎・米制裁リスクで
トルコリラへの下落圧力が高まっている。
2月7日に節目となる1ドル=6リラを約半年ぶりに突破した。
新型肺炎への警戒感からリスク回避の新興国通貨売りが強まっているほか、米国から経済制裁を受けるリスクもくすぶる。
19日に金融政策決定会合を開く中央銀行は景気浮揚のために利下げを求める政府からの圧力を受けており、難しい判断を迫られそうだ。
2月初めまで1ドル=5リラ台で膠着していたリラは、足元では1ドル=6リラ台前半で売買されている。月初からの下落率は1%を超えた。
リラ安は、新型肺炎で世界経済の減速懸念が高まり、新興国通貨全般にかかっている下落圧力によるものとみられる。
2018年の通貨危機「トルコショック」以降、通貨安に端を発するインフレや景気低迷に苦しんできたトルコでは、通貨安定のため国営銀行がリラを買い支えてきたが「買い支えきれずにじわじわと水準を切り下げている」(みずほ銀行欧州資金部の本多秀俊シニア為替ストラテジスト)。
18年の通貨危機を引き起こした対米関係の悪化もリラ相場の重荷となっている。トルコがロシアから地対空ミサイル「S400」を導入したことに米国は強く反発。
19年12月には上院が対トルコ制裁法案を可決した。トルコとの関係を重視するトランプ大統領は制裁の発動を猶予しているものの、米国はいつでも発動できる立場だ。
市場は米制裁のリスクをある程度織り込んでいるとみられるが、トランプ氏が選択しうる制裁メニューは関係者へのビザ発給停止から、米金融ネットワークからの締め出しまで幅広く、重い制裁が科される恐れもある。
隣国のシリアでは2月トルコ軍がアサド政権軍と直接交戦し、全面衝突に発展する危険性が指摘されるなど新たな地政学リスクも高まっている。
こうした中、トルコ中銀の立場は難しくなっている。物価上昇の鈍化に伴い、19年7月以降、1月までの5会合で主要な政策金利の1週間物レポ金利を年24%から11.25%まで引き下げた。既に足元のインフレ率(12%)を下回っており、これ以上の拙速な利下げは再び通貨安につながりかねない。
それでも中銀が利下げを検討する背景には、エルドアン大統領からの強い圧力がある。景気回復を急ぐ同氏は年内に政策金利を1桁まで下げるべきだと主張。19年には利下げ要求に従わなかったとして前中銀総裁を更迭するなど中銀の金融政策に公然と介入している。
トルコの大手証券会社のエコノミストは「通貨の安定を考えれば金利は据え置くべきだが、政府の要求をはねのけるのは難しいだろう」と話す。市場では、1桁台の政策金利が実現するまで、据え置きを挟むことがあっても利下げが続くとの見方が支配的だ。
https://xn--40-1b4aw96k573b4a6959a04f.tokyo/post-870
宜しければランキング応援お願いします。
以下のバナーをクリックいただければ幸いです。