新型肺炎 企業の損害補償は限定的
新型コロナウイルスの肺炎に伴う損害は、企業と個人で保険会社の補償範囲が大きく異なることになりそうだ。
コロナウイルスによる損害は企業の保険契約では明記されていないことが多く、閉店や操業停止の損失は大半が補償の対象外になる。
一方で個人の治療費は旅行保険や医療保険で補償される。企業は損失がそのまま負担になる可能性がある。
損害保険各社は通常、企業との間で保険契約を結んで災害時の損失などを補償する。
今回のコロナウイルスで休業した期間の損失を補償するケースがあるのは、あいおいニッセイ同和損害保険と三井住友海上火災保険の一部契約だ。
食品メーカーなどで食中毒で営業できなくなったときの損失を補償する特約があれば対象となる。
東京海上日動火災保険や損害保険ジャパン日本興亜の場合、災害などで従業員が避難するときの費用を補償する保険なら、今回のコロナウイルスによる避難も対象になる。
こうした限られた事例を除けば、一般の火災保険などでは仮に感染症の特約があっても補償されない可能性が高い。
保険会社は多くの感染症の特約で、重症急性呼吸器症候群(SARS)など症例を列挙して対象を明確にしているためだ。大手損保は一般に特約に新型コロナウイルスを含めていない。
今回は従業員や部品の不足などで操業停止が長引く工場も出てきている。この間の休業費用は多くのケースで補償の対象外になる。感染症への対応は保険会社によって契約が異なるため、企業は加入する保険の支払い基準を確認する必要がある。
個人の治療費などは多くの場合に保険で補償される。例えば損保会社の海外旅行保険は保険金を支払う見通しだ。
生命保険会社が扱う医療保険や死亡保険でも、新型コロナウイルスによる病気は他の病気と同じ扱いになる。
厚生労働省は新型肺炎を感染症法の「指定感染症」に指定し、入院措置や医療費を公費負担としたが、民間の医療保険に加入していれば入院給付金が支払われる。死亡時の保険金も支払われる。
今後の焦点は生保各社が設定する「災害割増特約」の取り扱いだ。災害時や所定の感染症での死亡時などに給付金を割り増しする特約で、新型コロナウイルスの規定はない。現状は「特約の対象外」(大手生保)として割り増しが適用されない。
ただ、00年代前半のSARS流行時には、法律にSARSが規定されたことを受けて生保の特約の適用対象となり遡及適用された。今回も「同様の対応をする可能性がある」(中堅生保)との声がある。
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「今後の状況により引き受け制限を行う可能性がある」。ある大手損害保険会社は1月、海外旅行保険などを扱う代理店にこう通知した。一部の保険で補償が殺到する可能性を懸念しているもようだ。今後、コロナウイルスの広がりによっては保険会社に影響を与える可能性がある。
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