日経平均上昇へ 新型肺炎の相場への影響
新型肺炎が広がって以降、金融市場は波乱が続いている。しかし直近では意外な堅調ぶりを示し始め、特に米国株の強さは驚異的なくらいだ。何が背景にあるのか。恐らく相場が織り込んでいるのは次のような点だろう。
第一に、感染者は増えているが、中国の1日当たり増加率はやや鈍化しつつある。感染の疑いのある人数「疑似患者数」がピークに差し掛かりつつあるとの見方も出始め、感染者数の「伸び代」が小さくなる可能性をうかがわせる。2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した時にも、感染者数の1日当たり増加率が鈍るのに合わせ相場は復調した。
第二に20年1~3月期に中国など世界景気は急速に落ち込むとみられるが、仮に感染拡大が比較的早期に収まると、その後のリバウンドを期待できる。03年に中国経済が急減速したのは1四半期だけで、翌四半期から落ち込みを急速に取り戻す動きが出た。
第三に、新型肺炎が各国の政策対応を引き出すとの期待も強まり始めた。デレバレッジ(過剰債務の圧縮)を基調とした中国政府の政策も、一時的とはいえ景気刺激型に切り替わる公算が大きい。また直近でブラジルやタイ、フィリピンが利下げした。「不測の事態が起これば米連邦準備理事会(FRB)が即座に利下げする」との思惑も投資家の間で根強い。依然として「金融相場」が続いている。
もちろん新型肺炎によるマクロ経済の落ち込みを目の当たりにするのはこれからで、まだ事態を楽観できない。危機性がさらに一段階上がるリスクも否定できない。しかし新型肺炎が収束するとの見方が出始めると、金融市場は長期のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の動きに収束していくと考えられる。そのトレンドは既に底打ちしている可能性が大きい。
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