郵政3社長辞任へ 民間トップでもガバナンス不全

郵政3社長辞任へ 民間トップでもガバナンス不全

かんぽ生命保険の不適切販売問題を受け、日本郵政の長門正貢社長ら郵政グループ3社のトップがそろって辞任する見通しとなった。民間金融機関の出身者としての手腕を期待されたが、巨大組織の運営にあたって法令順守の徹底など企業統治(ガバナンス)の不全を招いた責任をとる。
退任する長門氏は旧日本興業銀行(現みずほ銀行)出身。日本郵便の横山邦男社長は三井住友銀行、かんぽ生命の植平光彦社長は東京海上ホールディングスから転じた。それぞれの出身母体で実績を積み、長門氏と横山氏は2016年、植平氏は17年に現職に就いた。
郵政による米保険大手アフラック・インコーポレーテッドの株式取得などで収益力向上をめざしたが、かんぽ問題では経営の大前提である法令順守の欠如が露呈した。
かんぽや日本郵便に立ち入り検査した金融庁が問題視するのも法令順守の欠如だ。18年公表の金融機関のリスク管理に関する検査方針では、法令順守が「経営の根幹をなす」と位置づけた。かんぽ問題に関する外部弁護士の特別調査委員会も原因分析の報告書で「コンプライアンス意識が低い保険募集人の存在」を直接的な原因に挙げた。
経営陣は有効な手立てを打つことなく不正を放置した責任を問われる。40万人の社員を抱える巨大組織で、現場から経営層までのさまざまな段階で情報の目詰まりが起きた。かんぽと日本郵便の連携も十分にとれていなかった。結果的に不正を早い段階で止められない企業文化の醸成につながった。
金融庁幹部は「現場にひずみが生まれないよう目配りし、持続可能なビジネスモデルを構築することが経営陣の責任だ」と厳しい口調で話す。
金融庁は27日にかんぽと日本郵便に対し、保険の新規販売を3カ月停止する行政処分を発表する見通しだ。日本郵政にも業務改善命令を出し、3社長に経営責任を明確にするよう求める。行政処分で経営責任を問う場合、金融機関に事実上の経営陣交代を迫ったと解釈されることも多い。
郵政は27日に経営トップら取締役候補を決める指名委員会を開き、3社長の後任人事を協議する。長門氏らは同日に記者会見し、辞任を表明する見通しだ。誰が後任に就いても不正を黙認する企業文化の抜本改善に向けて多難な船出となる。

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