災害・観光情報の発信など 外国人に「やさしい日本語」 

災害・観光情報の発信など 外国人に「やさしい日本語」

必要な時に必要な情報をわかりやすく伝える――海外からの観光客や働き手などが増えてくると、こんな当たり前のことを実行するのは大変である。そのためのツールとして、やさしい日本語が注目されている。日本語が母国語でない人に分かりやすく情報を伝え、ノン・ネーティブと日本人の間のコミュニケ-ションを円滑にするために使う。台風など災害時の対応や日常生活のサポート、観光での意思疎通と応用範囲は広い。
「やさしい」という形容詞が付いているが、日本語であることに変わりはなく、日本語が母国語ではない人が情報を理解しやすいよう、必要最低限の語彙や文法を選んで体系化した。英語にもノン・ネーティブにわかりやすく伝えるために、やさしく簡潔に表現するPlain EnglishやSpecial Englishなどがある。その日本語版といえる。
やさしい日本語を使う場面を想像してみよう。第1は災害発生時である。先月まで開かれていたラグビーのワールドカップでは台風で交通が止まり、コンビニエンスストアも早々と店じまいするなど、観戦で来日していた外国人観光客は苦労を強いられた。非常時に必要な情報を外国語(多言語)で伝えようにも、翻訳時間も人手も足りない場合は少なくない。片言でも日本語が分かる人向けに、やさしい日本語で情報が伝達できれば、より早く、正確な情報を伝える可能性が高まる。
2番目は日常生活だ。ある程度の期間(例えば1年程度)、日本に住む人は普段のゴミ出しから、買い物、病気になった時の通院、納税などを体験する。女性は妊娠すれば出産とその後のフォローも必要になるわけで、自治体の幅広い窓口が海外出身の住民と接点を持つことになる。
3番目は観光客への応対や医療現場などである。
やさしい日本語の誕生
時計の針を1995年1月17日に戻してみる。やさしい日本語の研究スタートは、この日に発生した阪神大震災が契機となった。弘前大学の佐藤和之教授によると、神戸市に住んでいた大勢の外国人住民には情報がなかなか伝わらず、「情報弱者」となっていることが当時、佐藤氏ら日本語研究者の耳に入った。そこで、日本在住が1年以内くらいの外国人向けに情報を伝える方法を考えることにした。
日本在住1年程度の人はその土地に住んでいるが、日本語がそれほどうまいわけではなく、情報伝達の網からすっぽり抜け落ちてしまう。外国語も分かるボランティアなどが助けに来るまでは、およそ3日程度を要する。その間に外国人住民が生き延びるにはどうしたらよいか――。佐藤教授らが考案したのが、2000語と12文法を選択して体系化した生き延びるための「やさしい日本語」である。
自治体などがすぐに使えるように、佐藤氏の研究室では減災のためのやさしい日本語の文例案をウェブサイトで数多く紹介している(来春の佐藤氏の定年退官に伴い、ウェブサイトは来月半ばに閉鎖の予定)。
日常生活や観光でも活用
今年、初めて外国人の人口が10万人(総人口の3%弱に相当)を超えた横浜市。市民局の大塚尚子広報課長は、外国人住民が10万人を超えると、情報を住民の母国語による多言語で伝えるのは言語数が多すぎて現実的ではないと指摘、「日本語でやさしく伝えることが重要になる」と力を込める。
行政は様々な場面で海外出身の住民に接する。妊娠、出産、子どもの養育、福祉、税金など幅広い暮らしに関連する窓口での対応が求められる。保険料の減免など、窓口で外国人住民に“いくら”を“何日までに”と理解してもらうことが必要になる。
庁内で基準となるように、行政用語の中で難しいと思われる言葉をリストアップし、担当所管部署の人にも参加してもらって2014年から3年間かけて、やさしく説明するための言い換え表を作成した。「世帯主」は「同じ家で一緒に生活するグループを代表する人」、「入所要件」は「(保育園などに)入るための条件(必要であること)」といった具合だ。
観光分野では、柳川市(福岡県)が専用のバッジを用意している。右が外国人観光客用(白色)、左が商店街など受け入れ側用(青色)だ。観光客が同市を訪れた際に、バッジを配って、名所スポットの訪問や散策、買い物に役立ててもらう。こうすれば、お互いにバッジを見たら、日本語で話しかけたりして意思疎通をとることが容易になる。
では、一体どうやって自治体の職員に「やさしい日本語」を教えたらいいのか。
2016年4月に熊本地震を体験した別府市(大分県)では、やさしい日本語がeラーニングで学習できるように職員向けの学習環境を整備している。自分のペースで1週間に1時間程度の学習をすれば3カ月弱の期間にやさしい日本語が習得できる仕組みだ。豊富な実例を用意し、問題を解くと、すぐに回答がフィードバックされて、修正すべき点などを学ぶことができる。並行して学んだことを業務に生かせるよう、自分の経験などを掲示板システムに書き込み、他の受講生らと意見交換できる。
伝える内容の整理を
やさしい日本語はネーティブの日本人にとって簡単かというと、そうとは限らない。大事なのは自分がいかに伝えるかではなく、日本語が母国語でない相手にいかに理解してもらえるかだからだ。
では、そういった人たちに情報をどうやって分かりやすく伝えるか。最も大事なことは“伝えたい情報は何か”を考えることだ。「そんなことは当たり前だ」という声が聞こえてきそうだが、実はこれがとても難しい。英語でプレゼンテーションをする時、言いたいことを整理して最も論理的で説得力のある内容をわかりやすくつなげるために頭をひねる。こうした事前作業がなければ、英語だろうが、やさしい日本語だろうが、相手に肝心な情報は伝わらず、理解もしてもらえない。
その意味でやさしい日本語は、日本語でありながら、まるで外国語を話すときのように、自分がきちんと情報を伝えようとしているのかを気付かせるツールでもある。つまり、「日本語表現の鏡」としての役割を果たすと庵功雄・一橋大教授は指摘する。
外国出身者の子女に「バイパス」の役割も
やさしい日本語には、増える外国出身者との共生への効果も期待される。庵教授は、就学期以降に来日した2世世代に着目する。6歳ぐらいより上の年齢で初めて来日すると、日本語の習得は一般に難しいとされる。
しかも、文部科学省の最近の調査では、日本に住む義務教育相当年齢の外国籍児12.4万人のうち、約16%が国公私立校や外国人学校などに在籍していない不就学の可能性があるという。若い世代は長く日本に住むことを前提に、教育を受けて、日常生活ができるように、仕事ができるように後押しすることが必要になる。
そのためにやさしい日本語によって少しでも早く一定レベルの日本語に到達する方が、時間をかけて文法や漢字をきちんと習ったが途中で挫折するというリスクを減らせるのではないか、と庵氏は指摘する。いわば、高校卒業までのバイパスとしてのやさしい日本語である。
社会全体でみれば、やさしい日本語を通じて、片言の日本語でも結構、満足のいく体験や生活ができるということ自体が、日本の魅力の海外発信につながる。観光客、留学生、労働者を問わず、日本に興味や好印象を持つ人を増やすのは国際化の流れの中で重要だろう。将来の国際化も見据えて、やさしい日本語に習熟しておくことは、コストパフォーマンスのよい投資と位置付けることもできるのではないだろうか。

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