KYB検査データ改竄 「東洋ゴム」との違いは?

KYB検査データ改竄 「東洋ゴム」との違いは?

油圧機器メーカーのKYB(東京)と子会社による免震・制振装置の検査データ改(かい)竄(ざん)問題は、全国の公共施設で不正の疑いが浮かび、影響が広範囲に及んでいる。同様の不正は、平成27年に発覚した東洋ゴム工業(兵庫県伊丹市)による免震ゴム装置のデータ改竄が記憶に新しい。ともに安全性を担保するはずの免震装置への信頼を大きく損なう不祥事だが、違いや安全性はどうなのか。(江森梓、浜川太一)

【図で見る】免震ゴムと免震オイルダンパー

「またか、というのが正直な感想です」。10月中旬、三重県伊勢庁舎(同県伊勢市)の地下に設置されたKYB子会社製の免震オイルダンパー8基で改竄が発覚したことに、県担当者はため息を漏らした。

同庁舎では、同じく地下に設置されていた東洋ゴム製の免震ゴム44基のデータ改竄が27年に発覚し、交換工事を29年8月に終えたばかり。ダンパーについても、KYBに交換を求める方針だ。担当者は、「企業は違えど、多くの県民が利用する庁舎で不正が相次ぐとは、大変遺憾だ」と憤る。

相次いで起きた免震装置をめぐる不正。だが厳密に言えば、それぞれの装置の役割は違う。

免震ゴムは建物の基礎部分に装着され、地震時に水平に動くことで、建物に伝わる揺れをある程度相殺する役割がある。一方、免震オイルダンパーは、免震ゴムを補完する役割で、ゴムの近くに設置。ゴムだけでは抑えきれない長時間にわたる揺れを抑制する。高層ビルでは、複数のゴムと20基以上のダンパーを組み合わせて設置するケースが多いという。

改竄をめぐる両企業の状況も異なる。国土交通省によると、東洋ゴムは免震ゴムを作る上で、基準を満たすゴムの配合を完成させる技術がなかったにもかかわらず、それを隠すために改竄を実施。KYBはダンパーを作る技術はあったが、従業員不足のため必要な作業の工程を省略した結果、基準に満たずに改竄を行ったという。

基準に満たないいずれの装置も、改竄が明らかになった後に国交省が実施した調査で、「震度7程度の地震でも倒壊する恐れはなく、安全性に問題はない」と結論づけられた。

耐震設計に詳しい神戸大大学院の多賀謙蔵教授(建築学)は「一般的に建築物は、免震装置の基準値が国の基準に満たない場合でも、建物本来の耐震機能が働くよう設計されているため、東洋ゴムとKYBのケースも危険性を過度に心配する必要はない」と語る。一般社団法人耐震研究会」の保坂貴司代表理事も同様の見解を示す一方、「免震装置の機能が弱まれば、居住者が体感する揺れは高層になるほど強くなる可能性があり、家具が倒れやすくなる恐れもある」と指摘した。

たとえ安全性が担保されていたとしても、企業モラルに対する批判は免れられない。多賀教授は「国民を欺き、不安をあおった。決して許される行為ではない」と批判している。

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